【イクボス コラム02】部下の指導や子育てにも共通する“ほめ方”

   

「働き方改革」推進中の今、男性女性に関わらず、
仕事と育児が両立できる環境が望まれています。
そんな中、部下のワーク・ライフ・バランスを支援できるリーダー、
その名も「イクボス」の存在が重要となっています。

徳島県『イクボス』支援プロジェクトでは2019年度、
専門家を招いたセミナーを複数回開催してきました。
「アワログ」では、その一部を抜粋してご紹介いたします。

日本ほめる達人協会 西村博さんに聞いてみた!
「部下の指導や子育てにも共通する“ほめ方”」


●仕事と家庭円満プロデューサー 西村博さん プロフィール
一般社団法人 日本ほめる達人協会 特別認定講師。全国各地で、「ほめる達人」講演・研修を行っている。企業研修は31社、受講者数は延べ1,200人以上。大手企業や学校関係、PTAなどでも講演を実施。地元徳島では、情報番組のレギュラー出演など各種メディアでも活躍中。

【編集部】実は何と、9~20歳の計7名のお子さんの父親でもあるという西村さん。以前は、絵に描いたような仕事人間で、「夫は仕事、妻は家庭を守る」という考え方だったそう。しかし、ある日のこと、家事育児の苦労に耐え切れなくなった奥様が家出をしてしまうという事態に。もちろん、仕事どころではない騒ぎ。そうしてようやく、奥様が抱えていた悩み、そして、仕事は家庭という土台の上に成り立つことを学んだと言います。

Contents
1.家庭崩壊は他人事じゃない。世の奥様は何と93%が〇〇〇〇〇!
2.ポイントを押さえた「聴き力」で、家庭や職場の人間関係をより良く
3.「聴く」の次は「ほめる」にもチャレンジしてみよう
4.「ほめる」ときに大切な“視点”を忘れないでおこう
5.最上級のほめ言葉は「〇〇してくれてありがとう」

1.家庭崩壊は他人事じゃない。世の奥様は何と93%が〇〇〇〇〇!

特に男性の方に、知っておいていただきたい数字があります。実は、世の中の93%(※サンケイリビング新聞社調べ)の奥様が「家出をしたい」と考えたことがあるというんですね。その理由は主に3つ。「家事育児をサポートしてほしかった」「肉体的精神的にサポートしてほしかった」「一人になれる自由な時間がほしかった」ということなんです。家出を考える奥様の心境としては、もう心の糸が切れる寸前。細かいことが積み重なって、ストレスがバケツからあふれ出んばかりの状態で、もう、ちょっとしたことで「家出だ」「離婚だ」となるでしょう。こういった原因として、一番大きなもので“育児の負担”が奥様に偏っているという現状があります。

「産後クライシス」という言葉は聞いたことがありますでしょうか? 第一子を授かった夫婦の愛情の変化を調査したデータでは、「配偶者といると本当に愛していると実感する」割合が、妊娠期には、夫と妻それぞれが74.3%であったのに対し、子どもが2歳になるころには、夫51.7%・妻34.0%と、妻の方の気持ちの冷え込みが著しい。その裏側には、「産後の体の辛さを分かってくれなかった」「子どもがどんなに夜泣きをしても、夫は起きてこない。私一人だけが24時間体制で育児」「子どもが産まれても、夫だけは変わらないペースで飲み会に参加していた。私はゆっくり座って食事をする時間すらないのに」といった妻の声があります。

この状況が、妻に「家出したい」と思わせているんです。まさに、17年前の私ですね。ある日突然、妻に家出をされてしまった私は途方に暮れました。しかし、その時ですでに4人の小さい子どもがいましたから、なんとか世話をしてやらなければと、一番下の子をおんぶして台所に立ちました。子どもをおんぶして料理をする・洗濯をする、そして風呂に入れ、遊んでやり…、もう、たいへんな力仕事でした。妻はこんな大変な家事育児を一人で抱え込んでいたのです。これは、普通に外で仕事をしている方がはるかに楽だったと気付いたと同時に、家庭がこのような状況では仕事にならないことに困り果てました。仕事は家庭という土台の上にあったのだと痛感した出来事です。全力で仕事に取り組むためには、何より家庭が大事なのです。あなたご自身はもちろん、あなたの部下が家庭を大切にできているか、もしくは、大変な育児を一人で抱え込んで疲れ切っていないか、ぜひとも気にかけていただければと思います。

2.ポイントを押さえた「聴き力」で、家庭や職場の人間関係をより良く

家出をした時の妻は、気持ちがとても不安定な状況にありました。しかしこれは珍しいことではなく、子どもを産むことで、情緒が不安定になる割合は80%にものぼると言われています。しかし、私は、その原因はただ一つ、「旦那さんが奥さんの話を聞いていないから」、これだと思っています。

「聞く」ではなく、「聴く」なんです。「聴き方」には8つのポイントがあるのでご紹介しますね。
【1】目を見る
【2】うなずく
【3】相づちを打つ
【4】繰り返す
【5】メモをとる
【6】要約する
【7】質問する
【8】感情を込める

これを頭に入れてトレーニングをすると、「聴き力」が上がります。聴き手の「聴き力」により、相手のパフォーマンスを引き出すことだってできるんです。同時に、伝える力も上がるんですよ。そして、家庭だけではなく、職場での人間関係をより良くする手段にもなります。

3.「聴く」の次は「ほめる」にもチャレンジしてみよう

そして、「ほめる」ことも大切です。皆さん、人を「ほめる」とどんないいことがあると思いますか? 実は人間というものは、自分をほめてくれる、つまり自分を大事にしてくれる人のために最大のパフォーマンスを発揮する生き物なんです。

かといって、お世辞を言ったり、思ってもいないことを口に出したりするものではありません。「ほめる」とは、人・モノ・出来事の「価値」を発見して伝えることなんですよね。

先日の話なんですが、私がタクシーに乗った時、とてつもなく運転の荒いドライバーに遭遇してしまったんです。急発進、急ブレーキ、そして、赤信号で止まるたびに力いっぱいサイドブレーキを引く。決して良い乗り心地ではなかったですが、このサイドブレーキをしっかり引くという部分には感心したんです。そこで、ドライバーにこう伝えました。「運転手さん、ありがとうございます。停車しているときに、ギアをニュートラルにしてしっかりサイドブレーキを引いてくださる。サイドブレーキを引いていれば、万が一、後ろから追突された場合でも、大きな事故になりにくい。乗客である私の安全を考えてくださっているんですね。最近はこんなドライバーさんはいらっしゃいませんよ、このタクシーに乗れてよかった」と。するとドライバーさん、喜んでくださったのか、すっかり運転も丁寧になり、私は目的地まで快適に過ごすことができました。

4.「ほめる」ときに大切な“視点”を忘れないでおこう

もし誰かに対して、「ほめるところがないなぁ」と感じたのであれば、それはほめるところを見つけられないあなた自身の問題です。例えば、ほめる時の視点。「優柔不断」という言葉は、視点を変えれば、「思慮深い」「慎重に物事を見極められる」と表現できますよね。「ケチ」は、「節約家」「投資すべきポイントを知っている」。「落ち着きがない」は、「天真爛漫」「チャレンジ精神がある」。こうやって視点を変えると、あなた自身の考えも変わってきませんか?

夫婦間や子どもに対してだけでなく、職場において、部下を「ほめる」時にもこの視点大切になってきます。そうやってほめられた部下は、よりよいパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。また、上司から部下へアドバイスや助言をするときにも、まずほめた後に、必要な指導へと移るとより効果的です。

私は車関係の会社の経営者でもありますが、従業員はどんどんほめています。メモを使って、従業員がお互いにほめあう仕組みも作っていますし、従業員はお客様のこともほめて差し上げています。先日は、車検の車を持ってきてくださったお客様に「車の停め方、完ぺきですね!」と声をおかけしていましたね。とてもいい空気が流れている会社だと思います。

5.最上級のほめ言葉は「〇〇してくれてありがとう」

「ほめる」時のキーワードとして、「3S(スリーエス)」も覚えておいてください。「すごい」「さすが」「素晴らしい」。いい言葉ですよね。

また、「〇〇さんよりもすごい」と横と比較してほめるのではなく、「前回よりもこんなにできるようになったね」と、縦の成長をほめるのもポイントです。

そして、「ほめる」には、あなたの気持ちもぜひ加えてください。私は、最上級のほめ言葉、それは、感謝の言葉だと思っています。「〇〇してくれてありがとう」と心のこもった言葉を受け取って、嬉しくない人はいません。そして、さらに「助かったよ」「うれしかったよ」とあなたの気持ちも添えましょう。また、ご存じでしょうか? この「ありがとう」の反対語は、「当たり前」なんですね。部下や家族に対して、「当たり前」と思っていませんか? 何事も「当たり前」だと思ってしまうと、人のがんばりや努力、誠意、感謝、いろんなものが隠れてしまいます。仕事や育児でのうつなどにもつながると言われています。

「聴く」ことや「ほめる」こと、少しずつでも取り入れてもらえると嬉しいです。あなたや部下の皆さんが、土台となる家庭の安定を手に入れ、仕事でのパフォーマンスを上げることにつながると信じています。

【編集部】「仕事は家庭という土台の上に成り立つもの」。仕事をするにあたり、まずは家庭を大切にすべきという学びが込められた西村さんの経験は、仕事と家庭の両立に取り組む部下に真っ先に伝えてあげたい話ではないでしょうか。そんな部下の挑戦を見守ってあげられる職場こそが、これからの時代に必要とされていくのでしょう。

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さいちゃん

さいちゃんワイヤーママ編集部エディター

投稿者プロフィール

美味しいお店、楽しい場所があると聞けばどこまでも駆けつける、好奇心旺盛なミーハー女子。プライベートでは3歳児のママでもあるため、子連れで行けるスポットにも興味津々。泳ぎ続けていないと死んでしまう回遊魚のように、毎日忙しいのがダイスキ。

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